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【成約率が低すぎる?】海外交渉をお断りさせて頂いたこんな例

2021/09/15
 
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フリーランス通訳者。バンクーバー留学後、現地貿易会社にてインターン。貿易職を5年、世界30カ国以上の取引に携わる。通信会社にて社内通訳・翻訳を2年、ビックデータ関連の海外取引に携わる。国際交流のイベンター、司会業など複数の職を持ち英会話スクールのカウンセラーを併任。2020年に独立。

コンサルタントのお仕事をしていると、日々様々なお見積もりのご依頼を頂きます。ただ人が動くということは、お金も動くということでして、あまりに無謀なご相談に関してはお断りさせていただくこともございます。

お断りする理由としては、

  • 成立の可能性が非常に低く、結論が見えている
  • 間にコンサルタントを噛ませなくても自力で解決できる
  • 物理的に取引が不可能 (薬機法、日本に輸入が無理な商材等)

といったことが主にありますが、海外取引は先が長くリスクが多種多様に存在するからこそ、無謀なことにはお金をかけず、戦略をかえたり、マイルストーンをおき足元を固めてから進めて、できる限り、希望する結果を手にして欲しいといった思いがあります。この記事では、お手伝いが難しいケースを具体例をもとに記載させていただきます。

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お断りさせていただいたこんな例

化粧品の個人輸入 (フリマサイトでの転売用)

化粧品

こんなご依頼をいいただきました。

「個人輸入で小売業をしており、海外交渉をお願いできる方を探しております。ヨーロッパ内に店舗があるブランドに電をしてほしいです。知りたい内容は、日本に直送してもらえるか、そもそも仕入れることが可能か、担当者の連絡先です。ちなみにリストは20件です。」

内容をお伺いしたところ、個人様が副業としてやっていきたいとのことで、販売先はBUYMAやメルカリなどのフリマサイトを考えているとのことでした。結論からいうと、お断りをさせていただきました。

 

お断りさせていただいた理由

お断りした理由としては、

  • 成立の可能性が非常に低く、結論が見えている
  • 物理的に輸入が不可となる可能性が高い

ためです。

というのも、これでは後ろ盾なく、新規営業で大手ブランドに交渉を持ちかけるようなもの、成立の可能性はとても低いのです。もちろんそれを前提で、それでもとご依頼を引き受けるのは可能ではあるのですが、この種の依頼をコンサルタントへすると、見積もりが高く出る可能性があります。こちらの理由としては、

  1. 担当者へつながるまで道のりが長い
  2. 流通経路、また販売戦略、こちら側の事業規模を説明してメーカー側の許諾をもらう必要がある

といったことがあげられます。

 

門前払いを食らう可能性が高いこんな理由

お見積もりが高くなる理由(つまり、引き受けが難しいに通じる) ですが、まず、外国は縦割りであり権限を持つ人に辿り着くまで時間がかかります外国への電話代は実費となりますので、物理的に高額な金額がかかってくる可能性があります。

またブランドは、ブランドイメージを保つためあちこちへ軽く売らないというところも多く、まず個人が電話をかけても相手にしてくれないパターンも多いです。

また海外のAmazonサイトなどから仕入れるのであれば簡単ですが、ブランドが個人宛てに出荷 (しかも販売目的) してくれるかというとそれもまた狭き門であります。仮に海外で販売したとして、顧客に何かあってはいかないわけですから、言語が違う場合販売国でのサポートをどうするかといった問題も絡んできます。

そのため、問い合わせしても門前払いをくらう可能性が非常に高いのです。断られる可能性が非常に高い案件を、第三者にお金を出して確かめてもらうのはもったいないので、きちんと戦略をたててから進まれることをお勧めします。

 

実際の交渉例

といっても、どうしてもそのブランドを取り扱いたいとして、改めて戦略をたてて望まれる方ももちろんいらっしゃいます。こちらに記載するのは、ヨーロッパの某化粧品メーカー様との交渉例でございますが、

  • 本社に電話をかけ、営業担当者につながるまでに1週間
  • 最終的にアジア地域のCFOを紹介してもらうことができましたが、
  • 販売戦略と流通経路に確固たるものがないとしてお断りのご連絡をいただきました

輸入者となる方は日本でいくつか店舗をかまえていらっしゃり、化粧品取扱のため会社 (※) も用意されていましたが、ブランドの許可は得られませんでした。(こちらのブランド様との契約には至りませんでしたが、これを契機として、その後販売戦略などを見直し他社とご成約されております)

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販売用の化粧品輸入には注意が必要

ちなみに化粧品を日本へ輸入して販売するためには、必ず下記を準備する必要があります。

  • 化粧品を輸入するにあたって、「化粧品販売製造業」と「化粧品製造業」の許可を取得
  • 販売するために、「化粧品外国製造販売 (製造) 業者届出」を(独)医薬品医療機器総合機構へ提出 (通関までに必要)

また、輸入化粧品の場合、(国内で製造するわけではありませんが)、薬機法上は、国内での包装・表示・保管も製造工程の一部と位置づけられているため、「化粧品製造業」(包装等区分)の許可も必要となる筈です。

 

順序を踏まないと、多大なロスが発生する可能性も

フリマアプリ (イラストや)

これはあまり大声では言えないことですが、海外サイトから「自分用」として仕入れて、「個人使用」として数本輸入をして、何本かをフリマサイトなどで売る、ということは物理的に可能かとおもいますが、この手のことをメーカーとの交渉でやることは不可能に近いです。

というのも、輸入時に成分表などを取り寄せないとそもそも日本の輸入通関がかけられないですし、外国の化粧品には日本が許可していない成分が含まれていた場合、その場で廃棄・積み戻しとなる可能性も高いです。

違法事例:https://www.bsl-jpn.com/eigyou_syouhisya6

海外メーカー様から直接送ってもらう場合、ここで引っかかるので送り主にも迷惑をかけてしまうことが多く、(場合によってはこの人はこういう違反をしたというペナルティがつき、その後の輸出に差し障る)ので、皆様順をおって、充分に準備されてから、成約率は五分五分としても意を決してメーカー様と交渉を始める方が多いのですね。

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まとめ

matome

この記事では、具体例をもとに、交渉をお断りさせていただくケースとその理由を記載させていただきました。

  • 成立の可能性が非常に低く、結論が見えている
  • 間にコンサルタントを噛ませなくても自力で解決できる
  • 物理的に取引が不可能 (薬機法、日本に輸入が無理な商材等)

また今回特筆させていただいた例以外にも、

  • 自社商品 (雑貨) があり海外へも売っていきたい、とりあえず片っ端から電話をして動向を聞いて欲しい
  • 副業でBUYMA販売行いたい、大手ブランドに電話して直接取引ができるか確認してほしい

など、お引き受けを辞退させていただくケースもございます。

いずれも理由があってのことでございますが、貿易は交渉をはじめて到着するまでが長く、長い道のりとなるため、できる限りお金は無謀なことには使わず、効率的にまた結果の出る方面へ使っていただきたいという思いが一番かもしれません。

スキルマーケット内で「電話のみ代行」といったサービスを展開している優秀な方が多くおられますので、数打てば当たる先方の場合は一度そちらで様子をみて、実際にビジネスをスタートさせるか検討するのもありかもしれません。

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参考文献

(※) 化粧品輸入  販売マニュアル参照
https://www.mipro.or.jp/Document/hti0re0000000vi2-att/pdf_publications_0063nre.pdf

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フリーランス通訳者。バンクーバー留学後、現地貿易会社にてインターン。貿易職を5年、世界30カ国以上の取引に携わる。通信会社にて社内通訳・翻訳を2年、ビックデータ関連の海外取引に携わる。国際交流のイベンター、司会業など複数の職を持ち英会話スクールのカウンセラーを併任。2020年に独立。
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